ボクシング「亀田の夏祭り」が28日、東京・有明コロシアムで行われ、WBAフライ級ノンタイトル戦10回戦で亀田興毅(20)が、大差判定で世界前哨戦をクリアした。
公言通りのこだわりのボクシングで完勝した。鋭い右ジャブで距離を取り、相手のガードが上がったところに左をたたき込んだ。フットワークを駆使し、時には足を止めて打ち合った。興毅の目指す万能型のボクシング。無理にKOを狙わず、しかし相手を全く寄せ付けない。これぞ世界王者のボクシングだ。
昨年8月2日にWBAライトフライ級の世界王座を奪取してから、歯車が狂いだした。階級をひとつ下げたことによりパンチに体重が乗らず、手打ちとなってしまった。12月の初防衛戦でも歯車は微妙に狂ったままで、階級を本来のフライ級に戻しても自身が納得するには至らなかった。だがこの日、かつての興毅がリングにいた。
大毅との査定マッチにも興毅に焦りはなかった。冷静に現在の自分を分析し、足りないものを見いだした。それが「キャリア」だった。KOにこだわらず、丁寧にパンチを繰り出す。そこで体のバランスを確認した。1ポイントも取られずに、10回まで戦い抜くことを課題とした。結局、3人のジャッジの採点では1ポイント落としたが、フルマークは2人で最大10ポイント差をつけた。
パンチを上下に打ち分けることで、ボディーに効果的なパンチを打ち込んだ。中盤以降は、一方的な展開でKOチャンスもあった。だが興毅は無理には攻め込まなかった。「このボクシングをしようと思ってたんや。フルマークを狙ってた。今日初めてボクシングをしたわ。普通に楽しくボクシングができたわ」と実のある試合を強調した。
坂田への挑戦は大毅が決定的となり、興毅はWBC王座が標的となる。だが、オプション(興行権)など諸条件で交渉困難なため、現王者の内藤大助(宮田)との対戦は難しい。亀田陣営は、来年まで待つ姿勢で、興毅の2階級制覇への挑戦は早くて来春となる。「親父が決めた試合をするだけやから」と、気負うことなく現実を受け止めていた。
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